森の家、春の夢

太平洋に突き出た半島の付け根、山の麓近くの谷間に立つ木の家。

元々雑木林だったところを切り拓いたからこの家の庭の、代表的な樹種はコナラだ。

コナラは、すごくいい薪(温度が高くて、しかも長く燃える)になるから、雑木林の主要な木として植えられてきた。

でも、僕にとって一番需要なのは、コナラが大きく育って葉っぱの屋根を作って、森の中に大きな木陰を作ること。
他の植物たちは、その下で気持ちよく枝葉を伸ばす。お日様は植物にとって確かに大切だけど、強すぎる日差しは植物にとっても辛い。
木漏れ日の下で育つ木々の美しさは格別で、植物たちはスラっと繊細に幹や枝を伸ばし、涼しげな葉っぱを揺らす。

日当たりのいい、南東の一角には、果物をたくさん植えた。夏みかん、レモン、本ゆず(柑橘ばっかり・・・)。それからブルーベリーは三本植えて、アーモンドも植えた。この冬は、沢山の柑橘ジャムを作ったんだ。その南手前は、小さな畑。本当はもっと大きな畑にしたかったけど、森の中が心地良すぎて、畑よりも森を優先した結果がこのサイズになった。

今は3月の上旬で、庭には春の土の匂いがし始めた。木々の新芽が膨らみ、黄緑色の葉っぱが花の蕾のように顔を出している。

ああ・・・春が来る!
僕はもう、他のことは何も考えられないくらい、春の訪れを待ち侘びている。

・・・。

これは半分、僕の夢です。
僕は今、だだっ広い更地に木の家を建てて住んでいます。この庭を森にすることを夢見て。
この夢は、僕が描いたこの土地の空想の物語。この家と庭をキャンパスに、植物を絵の具にして描いていきます。
植物の声を聞きながら、彼らにとっても、そこに棲む僕にとっても心地よい庭を。

この庭と、僕の物語を見守って頂けたら嬉しいです。

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